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間違いなく予言の書であり、大傑作。『日本沈没』……漫画の力はすごいって話②

  格闘技、分散投資、外国語、防災、何かしなければいけない、ぼんやりとはしていられない、

と、まず明日から何をしたら良いかをリストアップし、具体的な行動を取り出したきっかけの一番の漫画がこれでした。

日本沈没 一色登希彦版 全15巻

 

最初に手に取ったのは2015。ゲオで借り、そのあとすぐに全巻セットで買いました。

 

 

タイトルの通り、

近未来の日本を巨大な地震が襲い、活火山は噴火し、日本国土が割れ、海に沈んでしまい、国土を失った日本国民が難民として世界中に散る……。

そんな物語です。

 

 

おそろしい漫画でした。どう恐ろしいかと言うと

 

「よくできたSF漫画」などと、エンターテイメントとして物語を楽しみ消費することを読者に許さない。

 

そんな感じです。いま読み返していても心がザワザワしてきます。

 

 

2006~2008まで『ビッグコミックスピリッツ』で連載されていたらしいですが、物語の設定は2011近未来を描いてる。(原作は有名なSF作家小松左京の小説でその時代背景は小説の発表1973年の数年後の近未来)

2017の今から見たら2011は過去ですが、

来るべくして来た日本の未来を先に見させられている、そんな気にさせられるのです。

 

 

 

振り替えれば911ニューヨーク同時多発テロが、私が世界のニュースを他人事でなく見るようになった始まりでした。

 

また子どもを生んだことで、嫌でも社会と繋がらざるを得ない生活が始まったせいもあります。

もう気に入らない常識や世界とは距離を置いて好きな世界にだけ生きればよい、というスタンスではいられなくなった。

 

 

子育ては今まで自分が軽視していた社会の普通や常識と再度向き合うことでもあった。

そうしてそれらの普通や常識と折り合いをつけながら子育てをしてきたものの、

(例えばこれらの記事↓で書いたようなズレを感じつつも)

 

先生と、親の言うことは、違ってよい。

 

あいさつ運動が大嫌い

 

改めて、その普通や常識を意識し自分から切り離す必要があると思わせる出来事がありました。

 

それが311の震災と原発事故でした。

その時から私は

 

歴史にもない未知のとんでもなく恐ろしいことがこの日本でおきた(おきている)。これは非常事態だ。いつも通りの通勤電車に乗り会社にむかい業務をこなさせられる“普通”の日常に飲み込まれてしまわないよう意識する必要がある。

 

と思っていて、そんな私に強烈な衝撃をあたえたのがこの漫画です。

 

『日本にとってーーー自分たちにとってーーー

「どういう意味をもたらすと受け取れば良いのか」を、

人々はまだはかりかねており、他にどうすることもできないので、

「日常」 を続けていた。

 

こういった表現がそのまんま『北朝鮮からミサイルが発射されました』と警報を鳴らされ報道されている(そしてそれはすぐに下世話な芸能人のゴシップに移り変わる)今の雰囲気にリンクしています。

 

 

たくさんの漫画を今まで読んできたけれど、これほどにまで作者の「言いたいこと」「表現したいこと」がキャラクターや設定に詰め込まれ溢れているものはそうそう無い。そして決して独りよがりにもなっていない。

 

 

作画タッチのテンション、キャラ一人一人のセリフの深さ、文献の引用からの過去の事象や事件の再現……

最初から最後まで同じ勢いと緊迫感で、未曾有の災害(災害どころではない)で日本国土がダメになり海に飲まれ日本人が身一つで世界に散り散りになっていくまで進みます。

 

 

そのひとつひとつの出来事の表現の生々しさ、人間の反応やセリフのリアリティは、物語中のSF的な架空の理論や装置の非現実感を補って余りある説得力です。

 

 

 

帰宅ラッシュの時間帯に都心を最大級の地震が襲う最悪のシナリオを見せるシーン↓

満員の地下鉄のホーム。

 

この「壁に蹴飛ばされた」って表現は絶対に被災したことのある人の現実の言葉だと思う。

 

 

地割れに人が落ちてそのまま割れ目が戻るシーン↓

一瞬登場して消える被害にあう脇役のセリフのリアリティ。

 

 

そして大きな災害後にいつも危惧される民間人による殺戮のシーン

 

ウィキペディアにもあるこのような事件のことですね↓

 

「関東大震災朝鮮人虐殺事件 (かんとうだいしんさいちょうせんじんぎゃくさつじけん) とは、1923年の関東大地震によりもたらされた関東大震災の混乱の中で、民間の自警団などによって少なくとも233人(司法庁調査)(朝鮮総督府官憲調査では813人)の朝鮮人が殺害された事件である。その他に朝鮮人に間違えられて内地人58人、中国人3人が少なくとも殺害されている。また、軍によって殺害された人数は少なくとも朝鮮人39人、中国人200人、内地人27人である。」

 

こうゆうのを知っているから、大地震が起きるたびにSNSで見る、

「今から現地に行ってきます!災害に便乗した犯罪から日本を守るために!」などと言い迷彩服を着て棍棒など武器らしきものを持った写真を得意げにUPする自称自衛団、自警団の男が怖い。

 

 

あれ? これは完全に「日本沈没前の最後の時期」どころか今の日本ではあたりまえになってる気がするな……。

オリンピック開催が決まっているからには今後これが強まることはあっても緩まることはないのでは……。

 

 

 

日本国土が沈みつつあり膨大な数の日本人が死んでいく中、一刻も早く残る人々を脱出させようと国連でお願いをするシーン↓

「日本が…戦後、いや近代以降の長きにわたって、

国際社会でどのように振る舞い、世界からどのように見られてきたか…

いま…

私が受けている眼差しがその答えだ…」

 

 

 

この、“ミスターノザキ”の言葉は

現副総理が「武装難民来たら射殺」と発言する国の、私達自身にも投げかけられている。

 

 

物語では、日本人は沈む国土から身一つで奴隷同然に諸外国の船に乗せられ連れられて行きます。

 

 

 

ないわー!そんなことあり得んわー! って思うスケールでかすぎな展開です。

 

 

 

が、

 

 

「そんな荒唐無稽なwww」と、この物語をただのSFとして消費させたりはしないぞ!と、

 

世界の傍観者としてこれを読んでるこちら側に作者が問いかけ働きかけてくるシーンがあるんです

 

 

その漫画表現自体は目新しいものではないのだけれど、

そこに作者の「他人事ではないんだよ!」という意思をすごく感じ取り震撼した。

 

私も、もうこれを荒唐無稽な物語だと思える世界ではなくなった と感じています。

この世界で生きていくために私に必要なものは何だろう?と真剣に考えだしました。

 

 

……漫画の、優れた物語の力は、
ここまで人を動かす力があるのだなと、
感心 感動しています。

 

 

そして次回紹介する漫画 『7SEEDS』(こちらも近未来のサバイバル物語の傑作) も読んだ結果、体力、筋力、瞬発力、危機感を持つために格闘技を始めました。

 

 

 

習っている格闘技(Krav Maga とMMA)についてもまた書きます。

興味のある人はぜひ引き続きブログをチェックしてみてくださいね!