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結婚せずに子どもを生んだ話②

    「出産の痛みに耐えられるのだから女は強い 」などと言い、自分なら逃げ出すような苦労や痛みを女に押し付ける男がいるが、そもそも出産の痛みに耐えられない とはどういうことなのか?

 

 

   私の場合は 陣痛はじまって 産まれるまでほぼ丸1日かかった。
陣痛室でうんうん言ってる間に、たしか2食は出てくるのを見た。
そこの病院は食事がシェフの作るフランス料理ってのがウリの一つで 小洒落た盛り付けの料理が運ばれてきていたように思う。

 

ベッドで ゴロンゴロンしながら、不快感に翻弄され、突如吐いたり  (あっ!すみません! 吐きます!と咄嗟に予告してベッドから乗り出し床に吐いた) 、たっぷりの浣腸注ぎ込まれてピロピロピーと全排出したり、痛い、寒い、暑い、気持ち悪い、苦しい とにかく不快!! の中にいて食事どころではなく、立ち会ってる妹が 「ねっ お姉ちゃんこれたべていいっ?私 食べるよっ?おいしそー!わっ おいっし!」と ベッドサイドに立ったまま食べてたのを視界のはしで見ていた。

 

初産は時間かかるからねー 体力はいるから食べれるなら食べてね
と言われ無理やり杏仁豆腐のデザートを少しすすっていた。

 

 

   大学院の友達みなちゃんは、 百万円するらしい恐ろしく性能のいいデジカメで、うららちゃんと一緒に 私の当時彼をこき下ろしながら (ほんま〇〇君使えねーな!なんなのあいつ!何しに来たの!とかね 笑) 頭ボサボサでグラグラしてる私を、 ジシャーッ! ジシャーッ!と撮っていた。

 

 陣痛室にいたのは その友達と うららちゃんと妹で 待合室ではなぜか妹の彼氏と私のその使えない彼氏がマンガを読んで待っていたらしい。彼氏は何度か覗きにきたけど そわそわしてた印象しか残っていない。

 

  陣痛が本格的に始まったのが夜だったので そこから陣痛の波は感覚がせまくなっていくだけだから寝ることはできなくなる。

 

眠くて意識が朦朧としだすとすぐに次の波がくる。
痛みに唸るわたしに うららちゃんは 「頑張って あおちゃん 頑張って」とオロオロしている。
朦朧としたグラングランの頭で私は 痛みのないタイミングに面白いギャグを思いついてうららちゃんに
「むかしの水着のさぁ~……」と意味不明な言葉をかけた。ギャグで和ませようとしたはずが、突拍子ないその言葉にうららちゃんは
「あおちゃんが錯乱してきた!」
と焦ってナースコールし、
やって来た看護師さんに
「大丈夫ですよ!あおさーーん!あおさーーんん!起きてますぅーー!?」とほっぺたぺしぺし叩かれた。

 

 

陣痛の痛みがどんなものかと言うと 生理痛を何10倍にも強めたものだと言えば 生理痛のキツイ人には理解してもらえるだろう。

 

重たい鉛の塊が臀部にあってそれが地面からギャギャギャギャと捻り引っ張られ ここが痛い どころではなく全身が痛いと不快 でパンパンになり 身体中をそれらが 走り回り 逃げ口を探しているようだった。

 

もしその時目の前に悪魔が現れて「全裸で逆立ちのままグラウンドを1周回って来い。そうすればこの痛みから解放してやろう。」と言ったなら、私は迷わず「やります!」と脱いでいたはずだ。

 

朦朧としながらも寝ることも気を失うこともできず 痛みと不快は身体中に増え続けどこからも出ていかず、

 

女は出産の痛みに耐えれるってゆうけど 耐える耐えないの前に 逃げようがないんだからやり過ごすしかないじゃん!!

 

と思った。
我慢できないから 出産やめます、ったってやめれねーーんだからよ!!ってなもんだ。

 

 

    「もうやだ」「やめたい」「まだ?」「もういや」「まだなのー?」「まーだー?」
と、早くこの痛みを終わらせたくて いつ出てくるのか?いつまで続くのか?と 延々文句を言っていた。

 

丸1日かかった深夜 妹や写真を撮っていた友達は既に帰っており うららちゃんだけが分娩室にはいれた。夫以外の男性は入れない。

 

そこからは早かった。
もう、やっと陣痛から解放されるーー!と開放感で痛みは感じていなかった。
深夜なので本当のギリギリまで先生はおらず 最後に呼び出されてやって来た院長先生と息子の副院長先生に お腹押されて無事巨大な息子は出て来た。(なんでもなぐはお尻だけ出してつっかえてたらしく早く出さないとマズイ!てんで押し出し方式)

 

みなちゃんに、頼まれてうららちゃんは分娩室での写真を撮っていた。
「通常よりへその緒が1.5倍太くて長い!」
という副院長先生の言葉を覚えています。ごつい電話コードみたい。

 

産まれてきたなぐの写真や これまた1.5倍にでかい胎盤など うららちゃんに写真を撮ってもらった。

 

 

  ……その後は 力尽きて 寝落ちした。

 

出産終えた時の感想は、
o,+:。☆.*・+。感動! 感涙! 産まれてきてくれてありがとう!o,+:。☆.*・+。
とかは特になくて、

 

「あーーー!やっと寝れるーーー!つかれたよーーー!!」
 
でした。

 

おしまい

 

 

※臨月にみなちゃんが撮ってくれた写真  マタニティドレスは買わなかった ドクロTの妊婦